還暦の赤いちゃんちゃんこには、魔除けとしての赤ちゃんの服という意味がありました。
還暦の満60歳とは干支が一巡して生まれた年の干支に戻る事です。
還暦を赤ちゃんに戻る歳と考え、赤ちゃんの服を着て長生きをお祝いするのです。
・なぜ還暦に赤いちゃんちゃんこなのか。
・十干十二支がひとまわりするのはなぜ120年ではないのか。
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なぜ還暦に赤いちゃんちゃんこなのか
前述の通り、還暦の満60歳とは干支が一巡して生まれた年の干支に戻る事。
還暦を赤ちゃんに戻る歳と考え、赤ちゃんの服を着て長生きをお祝いするのです。
赤いちゃんちゃんこには健やかな赤ちゃんの成長を願う魔除けとしての意味がありました。
赤い色には悪霊を退散するパワーがある
赤い色は、古来より悪霊を退散させる力があると考えられていました。
なぜ赤が強い力を持つのか。
それは古く日本に中国から伝わった思想に基づいています。
赤とは太陽や血液などの生命力の象徴であり、強いパワーを持つと考えられました。
その強いパワーで悪霊をも退散させると考えられたのです。
ちゃんちゃんこは子供服で産着としても使われた
ちゃんちゃんことは「子供の袖なし綿入れ羽織」(日本大百科全書から)の事です。
座敷童やゲゲゲの鬼太郎が着ている姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
袖の無いちゃんちゃんこは赤ちゃんに着せやすく、産着としても使われました。
赤ちゃんの健やかな成長を祈り、魔よけの赤いちゃんちゃんこを着せる事もあったのです。
還暦の赤に込められたもう一つの意味、厄払いの願い
実は、還暦に赤ちゃんの服を着る裏にはもうひとつの意味があるのです。
60歳は男女とも厄年にあたります。
古くから厄年には災難が多く降りかかると信じられてきました。
赤ちゃんの赤い服の強いパワーにより厄を払い、長生きを願うもう一つの意味もあったのです。
60年で干支が一回りする理由
もしかしたら60年で還暦を迎える事に疑問を持たれた方がいらっしゃるかもしれません。
干支とは十干十二支の組み合わせ、例えば2022年は壬寅(みずのえとら)。
十干とは、「甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸」の10種類。
十二支とは「子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥」の12種類。
組合せは10×12=120通りだから120年に一度ではないか?と。
実は、10のサイクルと12のサイクルの組み合わせでは、成立しない組み合せが60通り生まれます。
成立する組合せは10と12の最小公倍数の60種類なのです。
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コラム:還暦の由来と日本人の寿命について
還暦祝いの歴史意外に古く、奈良時代に中国から日本へ伝わりました。
しかし奈良時代の平均寿命は極めて短く28~33歳。
60歳まで生きるのは稀な時代で、まだ定着するには至りませんでした。
上流階級の長寿のお祝いとして定着するのはようやく室町時代になってから。
庶民に定着したのはようやく江戸時代になってからなのです。
とはいえ、江戸時代の平均寿命は30歳~40歳。
当時は幼児で亡くなる率が高く、寿命を引き下げていた事を差し引いても、60歳を迎える事は長寿でありました。
実は日本人の平均寿命が60歳を超えるのはようやく1950年頃の事なのです。
戦後もまだまだ長寿のお祝いの歳でした。
その後の急速な医学の進歩により平均寿命は延びました。
2021年の男性の平均寿命は81.41歳、女性は 87.45歳です。
現代において、もはや60歳の還暦は、長寿のお祝いというより、第二の人生をスタートするお祝いと言った方良いようですね。
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