「早生まれ」とは、1年を年度で区切り、1月1日生まれから4月1日生まれをいいます。
「遅生まれ」とは、4月2日生まれから12月31日生まれをいいます。
・「早生まれ」と「遅生まれ」の由来
・どうして3月31日ではなく4月1日までが「早生まれ」に含まれるの?
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「早生まれ」と「遅生まれ」の由来
数え年が由来
「早生まれ」と「遅生まれ」、早いと遅いは「数え年」に由来しています。
「数え年」とは、昔使われていた年齢カウント方法です。
「満年齢」のように誕生日に歳をとるのではなく、1月1日に皆一斉に歳をとるのです。
4月1日時点の小学校1年生を「数え年」でみてみましょう。
1月1日生まれから4月1日生まれは7歳。4月2日生まれから12月31日生まれは生まれ年が違うので8歳となります。
数え年ではそもそも年齢が異なるのです。
「数え年」は生まれた瞬間が1歳
「数え年」では、生まれた瞬間0歳ではなく1歳とカウントします。
その理由は、お母さんのお腹の中で10月10日を過ごして生まれてくるから。
又、数字は1から数えるのが一般的だからともいわれています。
確かに小学校0年生とはなりません。0からカウントを始めるのは特殊な事例です。
そして、たとえ12月31日に生まれても、誕生日に関わらず年が明ければ、一斉に皆2歳になるのです。
歳神様は新しい年だけではなく、人々の年齢も運んで来たのです。
いつ満年齢が採用されるようになったの?
明治になり現在の満年齢が用いられるようになりました。
法律上明治35年に「年齢計算ニ関スル法律」で定められています。
しかしまだ完全に満年齢に一本化された訳ではなく、旧暦による年齢計算は依然として「数え年」で計算される事とされました。
「数え年」と「満年齢」が併存していたのです。
満年齢に一本化されたのは昭和25年の事。
「年齢のとなえ方に関する法律」でようやく満年齢の数え方に一本化されたのでした。
案外新しい事なのです。
どうして3月31日ではなく4月1日までが「早生まれ」に含まれるの?
年齢は前日にカウントアップされる
4月1日は年度の初めの日。3月31日生まれまでではなく、4月1日生まれまでが早生まれとされる事に違和感がありませんか。
その理由は、法律上定められた年齢の加算方法にあるのです。
実は年齢が加算されるのは、誕生日に日付が変わる直前なのです。
例えば4月1日生まれは日付が変わる直前、3月31日に年齢が加算されるのです。
4月1日になった時にはすでに一つ歳をとっているので、4月1日生まれは入学の条件を満たし、ギリギリ「早生まれ」の側に含まれるのです。
しかし何故こんな数え方をするのでしょう。
2月29日生まれへの配慮だった
前日を生まれ日とするのは「うるう年生まれ」への配慮だったのです。
暦の日付と天体の動きのずれを4年に1度調整するため、うるう年には2月29日が設けられています。
2月29日生まれは4年に1度しかめぐってきません。
誕生日にカウントアップされるとうるう年は4年に1度しか歳をとらないことになってしまいます。
年齢の加算が1日前倒しされることでこの問題は解決。2月29日生まれは、うるう年でも普通の年でもちゃんと1歳年をとることが出来るのです。
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コラム1:年齢の加算に関する法律
明治35年に定められた「年齢計算に関する法律」及び「民法第百四十三条」で定められています。
明治三十五年法律第五十号(年齢計算ニ関スル法律)
1 年齢ハ出生ノ日ヨリ之ヲ起算ス
2 民法第百四十三条ノ規定ハ年齢ノ計算ニ之ヲ準用ス
3 明治六年第三十六号布告ハ之ヲ廃止ス
民法第百四十三条ノ規定とは次の通りです。
民法第百四十三条
週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。
2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
コラム2:就学年齢に関する法律
就学年齢に関する法律は以下のように定められています。
学校教育法第十七条
保護者は、子の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから、満十二歳に達した日の属する学年の終わりまで、これを小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部に就学させる義務を負う。
4月1日生まれは4月1日時点で満六歳に達していますから「満六歳に達した日の翌日」が誕生日の4月1日になり入学資格があるのです。
コラム3:早生まれは不利?
ショッキングな話ですが、大人になっても早生まれは遅生まれより統計的に不利という東京大学の研究結果がひところ話題になりました。
又、内閣府による調査でも早生まれの教育年数が比較的低い(つまり進学率が低い)との統計結果が出ています。
しかし本来、能力差があるのは幼年期のみ。高学年になれば追いつくはず。
なぜ大きくなっても差が縮まらないのでしょう。
それはスタートラインの差を埋めようとする行動が、逆効果をひきおこしてしまうのです。
学習時間を増やした結果、友達と過ごす時間が減り、後天的に会得するべき社会的能力を養う機会を奪ってしまうのです。
又、能力差を意識した行動が無意識のうちに子供の心に「劣っている」という誤った思い込みを植えつけてしまうのです。
その結果、成長しても能力差が縮まらないのです。
成長差は個人によってそれぞれ。
早熟な子もいれば遅咲きの子もいます。
大切なのは焦る事無く、その子らしい個性を伸び伸びと生かしてゆくことです。
大人たちは子供に劣等感を抱かせず、「自分も出来る」と思わせる事が必要なのです。
そして社会で成功するのに不可欠な、人との関係性の中で得る後天的な能力を育む事が大切なのです。(意欲、協調性、粘り強さ、忍耐力、計画性、自制心、創造性、コミュニケーション能力といったもの)
4月1日生まれで大成功した方は大勢いらっしゃいます。
小説家の林真理子さんや川上弘美さん、名投手の桑田真澄さん、世界的俳優の三船敏郎さん、その他政治家や学者など沢山の著名人が名を連ねています。
一つ切実な問題があります。
「早生まれ」は認可保育園に入りにくいのです。
認可保育園への申込期間は普通10月~12月。
早生まれの子は1歳になるのを待たなければ保育園に入れないのです。
しかし1歳での入園となれば高倍率。
誕生した早々に不公平が生じてしまうのです。
認可保育園に入るためには「基本指数」「調整指数」と呼ばれるポイントを稼ぐ必要があります。
狭き門の翌年4月の入園を狙うには、無認可保育園やベビーシッターを利用して育児サポートを受ける事により「調整指数」の高ポイントを稼ぎましょう。
この制度的な不利益は救済が待たれるところです。
早生まれであることはポジティブに捉えるべきです。
何より同級生より早く色々な体験ができるという大きな利点があります。
物事には必ず表と裏が存在するもの。
焦ることなく人生の長いスパンで捉え、自信を持って自分らしさを表現できれば能力は伸び、幸せを手にすることが出来るのです。
早生まれは大人になってからちょっとしたお得があります。
同学年の中で1年生まれ年が遅い為、若く見られます。
又、4月1日に一斉入社でも定年はふつう満年齢で迎えます。遅い分収入面でちょっとしたお得になります。
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