〜日常会話と法律用語で意味が変わる言葉たち〜
普段何気なく使っている言葉でも、契約書や法律文書になると、まったく違う意味になることがあります。
今回はその代表例として「ないし」と「その他/その他の」を取り上げます。
実はこれら、解釈を間違えると大きな勘違いや不利益につながることもあるのです。
目次
「ないし」の使い方と、「その他」と「その他の」の違い
〜日常会話と法律用語で意味が変わる言葉たち〜
普段何気なく使っている言葉でも、契約書や法律文書になると、まったく違う意味になることがあります。
今回はその代表例として「ないし」と「その他/その他の」を取り上げます。
実はこれら、解釈を間違えると大きな勘違いや不利益につながることもあるのです。
「ないし」の本来の意味
「ないし」は漢字で書くと「乃至」。
辞書には次の2つの意味があります。
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あるいは・または(選択)
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例:「郵送ないしメールでお送りください」=郵送またはメール
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日常会話ではこの意味で使われることが多い
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上下・前後の限界を示す(範囲)
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例:「20:30ないし21:00に実施」=20:30から21:00までの間ずっと
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法律や契約書ではこちらの意味で使われる場合が多い
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なぜ誤解されやすいのか
日常では「ないし=または」で通じますが、契約や法律の文書では「から…まで」の意味になるため、読み手の解釈が180度変わる可能性があります。
例
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会話での感覚
「BないしDを選ぶ」=BかDのどちらか -
法律文書での解釈
「BないしDを選ぶ」=B、C、Dのすべてを含む
これは、列挙の手間を省くために「最初と最後だけ書き、その間は省略」という使い方をするからです。
実務での安全な書き方
契約書や規約などで誤解を避けたい場合は、「○○から○○まで」と具体的に書く方が無難です。
特に時間や数量を扱う場合は、この一手間がトラブル防止につながります。
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「その他」と「その他の」の違い
こちらも一見些細ですが、法律用語や契約書では意味が変わる重要ポイントです。
「その他」
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名詞または副詞的に使う
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例:「予算、スケジュール、その他について検討する」
→「その他」は独立した名詞で、「それ以外のもの」を指します。
「その他の」
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連体詞的に使う(名詞を修飾する)
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例:「予算、スケジュール、その他の案件について検討する」
→「それ以外の案件」という意味で、前の名詞と同じグループに属します。
法律文書での含意の違い
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「Aその他のB」
→ AはBに含まれる
例:「鈴木さんその他の部員」=鈴木さんは部員の一人 -
「Aその他B」
→ AとBは別物
例:「鈴木さんその他部員」=鈴木さんは部員でない可能性もある
同じように見えて、含むか含まないかで解釈が大きく変わります。
まとめ
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ないしは「または」と「から…まで」の二つの意味を持つ
契約書や法律文書では範囲を示す意味が多く、誤解に注意。 -
その他/その他のは品詞も役割も違い、含むか別かで意味が変わる
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特に実務では、あいまいな表現を避け、具体的で誤解のない書き方を心がけることが重要
普段何気なく使っている言葉でも、意味を確認するだけで、文章の正確さと信頼性はぐっと高まります。
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