先日、“ないし”という言葉を”いづれか”の意味で使い、20:30ないし21:00頃より実施すると書いたところ、この表現だと20:30から21:00までずっと、という意味になるという指摘を受けました。
慌てて国語辞典を開いてみたところ以下のように書かれていました。
乃至の使い方
1 あるいは。または。「電話乃至手紙で知らせる」
2 数量などの上下・前後の限界を示して、その中間を省略するときに用いる語。「三年乃至五年かかる」
引用:goo辞書
つまり私が受けた指摘は、時間を表現したとき、2の「上下・前後」の限界を省略した意味となり、20:30から21:00の間ずっと、という意味になってしまうわけです。
契約や法律では誤って使いがちな要注意の用語なんですね。
つまり、例えばAからEまでの5つの製品があったとします。
このうち「BないしDにする」と表現したとき、会話上ではBかDのどちらかと理解するのではないでしょうか。
しかし法律的な解釈では、B、C、Dの全てを選択したことになるのです。
つまりBからDに至るまで全てという意味になるのです。
三つ以上の事項がある場合に、いちいち列挙するのがわずらわしいので、初めと最後だけを記述し、「乃至」によって、間の記述を省くわけです。
話し言葉と法律用語と異なる典型的な例です。
契約の世界では、乃至という言葉ではなく、誤解を招かないように「○○から○○まで」という表現をすることが多いようです。
「その他の」と「その他」
他に似たような例がないかと調べてみたところ、「その他の」と「その他」で法律用語では意味が異なることを知りました。
「Aその他のB」では、AがBの一部に含まれる場合に用いらるのです。
「鈴木さんその他の部員」と表現した場合、「鈴木さん」は「その他の部員」に含まれます。
一方、「Aその他B」と表現した場合、AとBはそれぞれ独立しているのです。
「鈴木さんその他部員」と表現した場合、「鈴木さん」と「その他部員」は別物と判断されるのです。
前者の場合、「佐藤さん」は「部員」の一員であることは間違いありませんが、後者の場合、右方「佐藤さん」は「部員」ですらないかもしれませんね。絵
まとめ
話し言葉と、法律上の言葉では用法の異なるケースがいくつかあります。
注意しなければ不利益を被る可能性がありますので注意が必要です。
普段使っている言葉も、時々辞書で調べてみましょう。
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